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会社法 (平成十七年七月二十六日法律第八十六号)
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第七百八十三条 (吸収合併契約等の承認等)
消滅株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社でない場合において、吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等(以下この条及び次条第一項において「合併対価等」という。)の全部又は一部が持分等(持分会社の持分その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)であるときは、吸収合併契約又は株式交換契約について吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社の総株主の同意を得なければならない。
3 吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において、合併対価等の全部又は一部が譲渡制限株式等(譲渡制限株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)であるときは、吸収合併又は株式交換は、当該譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が二以上ある場合にあっては、当該二以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は、この限りでない。
4 吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において、合併対価等の全部又は一部が持分等であるときは、吸収合併又は株式交換は、当該持分等の割当てを受ける種類の株主の全員の同意がなければ、その効力を生じない。
5 消滅株式会社等は、効力発生日の二十日前までに、その登録株式質権者(次条第二項に規定する場合における登録株式質権者を除く。)及び第七百八十七条第三項各号に定める新株予約権の登録新株予約権質権者に対し、吸収合併等をする旨を通知しなければならない。
6 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
第七百八十四条 (吸収合併契約等の承認を要しない場合)
前条第一項の規定は、吸収合併存続会社、吸収分割承継会社又は株式交換完全親会社(以下この目において「存続会社等」という。)が消滅株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。ただし、吸収合併又は株式交換における合併対価等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合であって、消滅株式会社等が公開会社であり、かつ、種類株式発行会社でないときは、この限りでない。
2 前条の規定は、吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を吸収分割株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。
第七百八十九条 (債権者の異議) 吸収合併消滅会社に対する
次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。
一 吸収合併をする場合 吸収合併消滅株式会社の債権者
二 吸収分割をする場合 吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない吸収分割株式会社の債権者(第七百五十八条第八号又は第七百六十条第七号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、吸収分割株式会社の債権者)
三 株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合 当該新株予約権付社債についての社債権者
2 前項の規定により消滅株式会社等の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、消滅株式会社等は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 吸収合併等をする旨
二 存続会社等の商号及び住所
三 消滅株式会社等及び存続会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
四 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、消滅株式会社等が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告(吸収分割をする場合における不法行為によって生じた吸収分割株式会社の債務の債権者に対するものを除く。)は、することを要しない。
4 債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収合併等について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べたときは、消滅株式会社等は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
第七百九十六条 (吸収合併契約等の承認を要しない場合等)
前条第一項から第三項までの規定は、吸収合併消滅会社、吸収分割会社又は株式交換完全子会社(以下この目において「消滅会社等」という。)が存続株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。ただし、吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続株式会社等の譲渡制限株式である場合であって、存続株式会社等が公開会社でないときは、この限りでない。
2 前条第一項から第三項までの規定は、第一号に掲げる額の第二号に掲げる額に対する割合が五分の一(これを下回る割合を存続株式会社等の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。ただし、同条第二項各号に掲げる場合又は前項ただし書に規定する場合は、この限りでない。
一 次に掲げる額の合計額
イ 吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社(以下この号において「消滅会社等の株主等」という。)に対して交付する存続株式会社等の株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額
ロ 消滅会社等の株主等に対して交付する存続株式会社等の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
ハ 消滅会社等の株主等に対して交付する存続株式会社等の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
二 存続株式会社等の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額
3 前項本文に規定する場合において、法務省令で定める数の株式(前条第一項の株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)を有する株主が第七百九十七条第三項の規定による通知又は同条第四項の公告の日から二週間以内に吸収合併等に反対する旨を存続株式会社等に対し通知したときは、当該存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。
第七百九十七条 (反対株主の株式買取請求)
吸収合併等をする場合には、反対株主は、存続株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。ただし、第七百九十六条第二項本文に規定する場合(第七百九十五条第二項各号に掲げる場合及び第七百九十六条第一項ただし書又は第三項に規定する場合を除く。)は、この限りでない。
2 前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。
一 吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合 次に掲げる株主
イ 当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該存続株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
二 前号に規定する場合以外の場合 全ての株主(第七百九十六条第一項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)
3 存続株式会社等は、効力発生日の二十日前までに、その株主(第七百九十六条第一項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)に対し、吸収合併等をする旨並びに消滅会社等の商号及び住所(第七百九十五条第三項に規定する場合にあっては、吸収合併等をする旨、消滅会社等の商号及び住所並びに同項の株式に関する事項)を通知しなければならない。
4 次に掲げる場合には、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
一 存続株式会社等が公開会社である場合
二 存続株式会社等が第七百九十五条第一項の株主総会の決議によって吸収合併契約等の承認を受けた場合
5 第一項の規定による請求(以下この目において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の二十日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。
6 株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、存続株式会社等に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第二百二十三条の規定による請求をした者については、この限りでない。
7 株式買取請求をした株主は、存続株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。
8 吸収合併等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。
9 第百三十三条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。
第七百九十九条 (債権者の異議)
次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、存続株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。
一 吸収合併をする場合 吸収合併存続株式会社の債権者
二 吸収分割をする場合 吸収分割承継株式会社の債権者
三 株式交換をする場合において、株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親株式会社の株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外の場合又は第七百六十八条第一項第四号ハに規定する場合 株式交換完全親株式会社の債権者
2 前項の規定により存続株式会社等の債権者が異議を述べることができる場合には、存続株式会社等は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第四号の期間は、一箇月を下ることができない。
一 吸収合併等をする旨
二 消滅会社等の商号及び住所
三 存続株式会社等及び消滅会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
四 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
3 前項の規定にかかわらず、存続株式会社等が同項の規定による公告を、官報のほか、第九百三十九条第一項の規定による定款の定めに従い、同項第二号又は第三号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。
4 債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収合併等について承認をしたものとみなす。
5 債権者が第二項第四号の期間内に異議を述べたときは、存続株式会社等は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。
合併公告(ひな型)
記会社は合併して甲は乙の権利義務全部を承
継して存続し乙は解散することにいたしました
効力発生日は平成○○年○○月○○日であり、
甲は会社法第七九六条第○項、乙は同第七八四条 ※1
第一項に基づき株主総会の承認決議を経ずに合併
を決定しております。また、甲は乙の全株式を所
有していますので、この合併による甲の新株式の
発行及び資本金の額の増加はいたしません。
この合併に対し異議のある債権者は、本公告掲
載の翌日から一箇月以内にお申し出下さい。
なお、最終貸借対照表の開示状況は次のとおり
です。 ※2
(甲)証券取引法による有価証券報告書提出済
(乙)確定した最終事業年度はありません
平成○○年○○月○○日 ※3
○○県○○○市○○町○○番○○号
(甲)○○○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○
○○県○○○市○○町○○番○○号
(乙)○○○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○
【注】本公告は債権者保護手続の一環であるから官報で行わなければならない。
【注】本公告は号外に掲載されます。
【注】会社の住所、会社の名称、代表者の肩書き、氏名は登記簿に記載されているとおり。
※1 会社法第七九六条第○項の「○」には「一」もしくは「二」が入る。
第一項 特別支配関係にある会社間で特別支配会社が消滅会社等、被特別支配会社が存続会社となる吸収合併等の場合(略式吸収合併等)
第二項 吸収合併等に際し交付される社債その他の財産の帳簿価額の合計額が存続会社純資産の五分の一を超えない場合(簡易吸収合併等)
※2 合併公告(債権者異議申述公告)においては、合併する会社の最終貸借対照表の開示状況を記載する必要があります。その場合、合併の相手方の貸借対照表の開示状況の記載も必要です。最終貸借対照表の開示状況の記載方法
※会社法では、吸収合併の効力は登記ではなく、効力発生日に生じる事とされ(会社法750条1項)、その日までに全手続が完了していればよく、合併公告と合併承認決議の前後を問わなくなった。
※3 掲載日は、原稿をいただいた後、掲載可能な日をご連絡いたします。
・掲載希望日がある場合はご連絡ください。 ※参照( 官報公告掲載までに必要な日数 )をご覧下さい。
※ 吸収合併とは「会社が他の会社とする合併であって、合併により消滅する会社の権利義務の全部を合併後存続する会社に承継させるものをいう」(会社法2条27号)。
※ このような合併は4種類の会社(合名会社、合資会社、合同会社、株式会社)のいずれの組み合わせでも認められます。(特例有限会社、清算株式会社には制限があります)
※ 必要事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない(会社法789条2項・799条2項)
※ 合併において、株券提出公告は必須の公告となります(株券等を発行していない場合を除く)。合併登記申請にも必要な添付書類とされました。
※ 会社法では、吸収合併の効力は登記ではなく、効力発生日に生じる事とされ(会社法750条1項)、その日までに全手続が完了していればよく、合併公告と合併承認決議の前後を問わなくなりました。
(略式合併)について
親子会社間の合併であり、被特別支配会社側の株主総会決議を省略して、特別支配会社の取締役会等の決定により合併する方法であす(会社法784条1項)。
この場合、特別支配会社が譲渡制限株式を交付することになる場合は、この方法は認められません。また、譲渡制限株式が割り当てられる場合で、消滅会社が公開会社であり、かつ、種類株式発行会社でないときは、認められません(会社法784条1項ただし書)。
※特別支配会社(沿う議決権数の9割以上を有する会社)と被支配会社との間で行う組織再編は、被支配会社(子会社)の株主総会承認を省略することができます(会社法784条1項)。
※上記は、100%子会社を吸収合併する際の、いわゆる無増資合併(合併新株を発行せず資本金の額も増やさない合併)の例です。それも上場会社が存続会社の場合です。会社法では、子会社側でも株主総会の開催を省略できるようになりました。